2013年01月12日

iPS細胞


先日、2012年ノーベル医学・生理学賞が発表され、京都大学の山中伸也教授の受賞が決定しました。今日は、山中教授が率いる研究グループが世界で始めて作成し、受賞理由にもなったiPS細胞について、解説します。
日本語だと、人口多能性幹細胞と呼ばれ、iPSは英語のinduced pluriopotent stem cellsの頭文字をとったものです。当時流行していたiPodのように世界に普及してほしいということで、敢えてiは小文字にして、山中教授自身が命名しました。
iPS細胞のすごいところは、万能細胞という1つの細胞からあらゆる体の組織が作り出せる細胞であるというところです。
例えば、人間の皮膚の細胞をいくら培養したところで、心臓が出来るということは普通あり得ないですよね。しかし、人間ももともと一つの細胞(=受精卵)です。このように、1つの細胞が何にでも分化して、最終的にあらゆる器官になりうる細胞を万能細胞といいます。
この万能細胞が、生物の皮膚などの細胞を取り出し、それにたった4つの遺伝子を導入するだけで出来てしまうのが、iPS細胞です。このiPS細胞を人間に応用できれば、今まで医療技術では再生し得なかった、歯や脊椎などをiPS細胞から作り出すことが出来たとしたら、従来の医療の可能性を大きく広げるかもしれない技術になります。
再生医療については、従来から研究が進められており、2007年には万能細胞の一種であるES細胞を発見した教授がノーベル賞を受賞しています。
しかし、このES細胞はひとつ問題がありました。ES細胞を作成する過程で、受精卵を壊し、核を取り出す工程があります。これが、(壊さなければ一つの命としてなりうるはずの)命を絶っていることにならないかという生面倫理上の問題がありました。
そこで、登場したのが今回のiPS細胞です。iPS細胞は皮膚など、理論的にはあらゆる細胞から作り出せるためこうした生面倫理の問題をクリアした万能細胞ということが出来ます。
近い未来、病気の治療といえば、薬を飲むのではなく、iPS細胞から作り出した自分の体の一部を取り替える。そんな時代が来るかもしれません。
posted by IKJ at 15:46| メルマガバックナンバー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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